頭サビ9割

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〜自分と向き合う時間〜

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呼吸法までマネるくらいで、ようやく他者理解できる。 #321

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・こんな記事をみた。実はというと、知っているひとの転職した会社について書かれた記事だ。記事によると、その会社では「専属トレーナーが、候補者の転職活動にマンツーマンでサポートする」というサービスを提供しているらしい。60日間のプランで36万円ほどなのだけど、意外にも20代前半のユーザーが最も多いようだ。

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ぼくはその内容もほどほどに、ううむ、と唸ってしまった。それは記事のなかに、なにか違和感があったからだ。違和感といっても、それが感覚的にポジティブなものであると分かる。「すごく良い文章だなあ」と思った。そんなポジティブな違和感とは、なんなのだろう。それを理解するために、ぼくは写経をした。

写経とは、文章を写し書きすることだ。仏教の経典を書写することに、由来している。むかし上司に「文章が上手くなりたかったら、いいなと思うひとの文章を写経してみたら」と提案されたことがあった。写経には、書き手の気持ちが分かる効果がある。書き手の気持ちになって文を紡げば、ふだんの自分とは違う「なにか」を感じ取れるのだ。それこそが良い文章にたらしめているのだから、写経をすると自然に良い文章のコツが分かってくる。

今回は先ほどの文章が良い理由を知りたくて、写経をした。そうして分かったのは、前述の記事には著者の視点、句点の置き方、文章表現に自分と異なるところがあったのだ。たとえば記事中に「マンツーマンレッスンで伴奏する」という表現が出てくる。これはマンツーマンレッスンをする会社で働いたけれど、一度も使うことのない表現だった。そんなふうな自分にない文章の書き方で、心を動かされていたのだ。

他者理解についても、写経と似たようなことがいえると思う。他者の言動によってモヤモヤしたときに、文章を一行一句同じように写すように、その人の口グセから呼吸法までマネをしてみる。そうすることで、なんとなくその人のことが分かってくるのだ。見ているだけじゃあ分からない。いや、分かる気もするけれど、自分がその人になってみるくらいで、ようやく他者理解になる。

思えば、英語を勉強していたときだって、英単語をスラスラ言えるくらいまで覚えたでしょう。なにかを理解したければ、体の一部になるくらい取り込む。文章だって、ひとだって同じように取り込んでいくことで、理解がグンと深まるのだ。

 

今日も「頭サビ9割」に来てくださって、ありがとうございました。