人工的な自然 #359

ブルースリーの映画を観ていると、拳法の達人になったかのよう気分になる。ジャッキーチェンだったら酔拳ができる気がするし、アクションに限らず、ハリーポッターなら魔法使いになった気がする。ドラマはフィクションであると分かっても、作り込まれた世界観に自分が誘われる。そうしてそのドラマのキャラクターのような感覚で、物事を捉えたり、行動したりするのが好きだ。

今は『プリズンブレイク』というドラマを観ている。アメリカのテレビで放送された、脱獄犯の逃亡劇を描いたものだ。スリリングな世界観にどんどんと惹きこまれ、自分が逃亡犯だったら、と想像することが増えてきた。もし逃亡犯だったら、早歩きになる。帽子を盗んで深く被る。広い道は通らない。だれでもスマホで通報できるのだから、街のすべてのひとを警戒するだろうな。

脱獄犯だと思い込みながら歩くだけで、いつもの日常がまったく違うものとなった。「一般の市民」を演じようとして、”自然”のつもりが不自然になる。なにも気にせずに過ごしたほうが、当たり前なのだが「市民」だった。人工的に自然をつくると不自然になるわけで、ああ、そうしたことは世の中にたくさんあるんだと思う。そこには少なからず「嘘」があり、それは他者から見ると違和感だし、本人からすると体に悪いのだ。

今日も「頭サビ9割」に来てくださって、ありがとうございました。