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【書評】『イシューからはじめよ』ポイント:そもそもイシューってなに?

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今回は社会人1年目の方に向けて『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』について書評したいと思います。所要時間は5分です。

こんなひとにオススメ

・生産性を上げたいと思っている
・問題解決がしたいと思っている
・良い成果を出したいと思っている

コンサル業界など、若いうちから活躍する必要があるひとにオススメできます。

著者紹介

安宅 和人(あたか かずと)氏の経歴
1968年、富山県生まれ。東京大学大学院にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学。3年9カ月で学位取得(Ph.D.)し、マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域における中心メンバーの1人として、飲料、小売り・ハイテクなど幅広い分野におけるブランド立て直し、商品・事業開発に関わる。

戦略コンサルティングファームの雄、マッキンゼーで働いていた方が書いた本です。

目次

・序章:この本の考え方―脱「犬の道」
・第1章:イシュードリブン―「解く」前に「見極める」
・第2章:仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
・第3章:仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする 
・第4章:アウトプットドリブン―実際の分析を進める
・第5章:メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる

序章でイシューの「重要性」を示し、1章でイシューの「条件」を示しています。それ以降の章では、イシューに対する答えを出すための「ステップ」を丁寧に説明しています。

※サクッと確認「そもそもイシューってなに?」

この本を手に取られた方の大変が思うことは、「イシューってなに?」ということだと思います。大学受験のときに「Issue(イシュー)」という英単語を覚えたなあ、と思い出すひともいるかもしれません。

本書において、イシューとは「本当に意味のある問題」です。いわば「問い」なのです。

コンサルティング業界が認知され始めてきてから、問題解決をテーマとした本がたくさん出版されました。しかしその多くが問題解決の「方法」に焦点が当たっています。

「どう問題を解決するか」ではなく、「どう問題を設定するのか」を説明しているのが本書です。

その上で、設定した問題を解決していくためのステップが書かれています。

イシュー(意味のある問い)になる条件は3つ押さえればOK

結論から言うと、以下の3点です。

本質的な選択肢である(今後の方向性に、大きな影響を与えるかどうか)
深い仮説がある(常識を覆すような洞察」や「新しい構造」があるか)
答えを出せる

イシュー、つまり答えを出すべき問いは、日々変わっていく可能性があります。というのも本質的に大切なことは、外部要因によって変化するからです。(例えば新型コロナウイルスの状況で「どう経営戦略を練るか」をイメージすると分かりやすいです。)

そのため「今、答えを出すことが今後の影響を与えるか」という視点を持つことが、イシューを見極めに寄与するでしょう。

2つ目の深い仮説というのは、「常識を覆すような洞察」や「新しい構造」ということがあるかで判断します。(著者は帰納法的に、それらがイシューに存在すると述べています。)

最後の「答えを出せること」は当たり前かもしれません。しかしイシューのようにみえてイシューでないことの多くが、現実的には答えを出せない「なんちゃってイシュー」なのです。良いイシューは「答えを出せる範囲でもっともインパクトのある問い」とも言えます。

「本質的な選択肢」を持っており、その答え(結論)に重要な意味があること、それがイシュー(問い)の条件です。

イシューからはじめるために、もっとも大切な「特定」ステップ

イシューの条件はわかった。では、どうすればイシューを見つけられるのか。その疑問を解決するのが「特定」のステップです。

本書では、イシューに「答え」を出すステップも書いています。しかし、まずはイシューの出し方を十分に覚えることが重要だと思いました。なぜならイシューが出ないと、その後のステップに進めないからです。

そんなイシューを特定するためのアプローチは5つが有効です。本書の表現を引用しましたが、言い換えた例も示しておきます。

・変数を削る
→抽象的な表現を具体的にする

・視覚化する
→構造を可視化する

・最終形からたどる
→未来の姿をになるためには?を問う

・極端な事例を出す
→変数を極端にしてみる

・So Whatを繰り返す
→だからなにが言える?を繰り返す

これらはすべて、テーマに関する肝心な要素(イシューになるべき点)を明らかにするアプローチです。

たとえば「SNSサービス」というテーマでイシューを考える場合、変数が多すぎます。そこでSNSサービスを「ツイッター」に絞ることで、その他の変数(インスタグラムやフェイスブック)を削り、肝心な要素がイメージしやすくなります。

これらはすべて、ボヤッとした頭の中をクリアにしていくためのアプローチです。そうすることで、イシューが思いつきやすくなります。

イシューに「答え」を出すステップについてサクッと

 イシューを仮説立てられれば、そのあとは実際に検証していきます。そのステップについて、簡単に紹介しておきます。

・イシューを分解する(答えを出せる問題にまでイシューを分ける)
・ストーリーラインを作る
・絵コンテを作る
・検証を進める

イシュー自体は「今後の方向性に、大きな影響を与える」ほどの大きな問いであるので、小さな問いに分解していきます。そのうえでイシューの検証結果を発表する機会を想定し、「検証方法」や「結果」をストーリーを組み立て、また簡単にビジュアル(絵)でも落とし込みます。

作業の過程によって、結果を導くための検証方法が明らかになるはずです。それから実際に、検証を進めていきます。

わたしが『イシューからはじめよ』から学んだこと

本書を通して「どう問題を解決するか」ではなく、「どう問題を設定するのか」が重要だと感じるようになりました。なぜなら重要でない問題を解決したとしても、その結果与えられる影響は少ないからです。

実際に私ごとですが、コンサルティング会社に就職して日々「問題設定」の重要性を実感しています。バリュー(価値)を出す必要があるひとほど、この「イシューからはじめる」という思考は重要かもしれません。