頭サビ9割

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〜自分と向き合う時間〜

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「うまく伝えられない」というよろこびを胸に。 #385

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・少し前のことだけど、一度、ここに書いたっけなあ。いま、この時期にまた思い出したので、また書きますね。

人生ではじめて仕事をしてから、少し経ったときでした。いつもどおり、汗くせとはたらいていると、突拍子もないことが起こったのです。その内容とは、上司にホウレンソウするべきことでした。「あの、じつは先ほどお客さまに電話をしたら、もうすでに他の従業員から電話がきているって」「どういうことだ」「つまり、ぼくが電話をするまえに、だれが他のひとが連絡していたんです」「それはだれだ」「わかりません!」

実は、ぼくは、そのときに話していたことを、頭のなかであまり整理できていませんでした。それでも、はやくホウレンソウしないといけない、と焦るばかりに、ことばが先に口から出てしまっていたのです。しかしふりかえってみれば、それはつまり報告なのか、連絡なのか、相談なのか、を明らかにした上で伝えるべきだし、その内容を少なくとも自分が把握しておくべきでした。

それから、時が流れました。社会人になった今でも、うまく伝えられないことがあります。とはいえ、ただ自分が「伝える力が足りない」と結論づけるのは、あまりにも寂しいものです。最近になって、こういうふうに考えることもできるようになりました。「うまく伝えるのはむつかしい」という場合は、たいていが、とても面白いことである。複雑な前提やいくつかの結論によって、うまく伝えるには高度な技術が必要だ。

伝わらないことが、たくさんあって、ほんとうによかったとも思います。伝えにくい荒野の面積が広大であることは、希望なのです。そうぼくの尊敬するひとが言っていましたが、人間関係においては、うまく伝わらないことが、その後の「希望の轍」になるのです。その原因をしっかりと見つめて、改善していくことで、伝わるようになりますから。

だからぼくは今、想いが伝わらないことがあるときは、少しワクワクします。ああ、希望しかない。そして、おもしろいことに出会ったのだと、感じています。「うまく伝えられない」というよろこびを胸に、イキイキとできるのは、いつごろまでなのだろうか。

今日も「頭サビ9割」に来てくださって、ありがとうございました。