頭サビ9割

頭サビ9割

〜自分と向き合う時間〜

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グラグラしてすこし頼りない

bench on gray ground near mountains

・月火水とやってきて、木曜日だとばかり思っていたら、なんだかふいに祝日が来ていた。

『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』というエッセイ集のようなものを読んでいる。ウェブメディアの会社員である著者が、ちょっと変わったところに行ったときのエピソードを綴った生活史とも言える。

そのなかで、登山道を自力で整備した人と会ったときの話がある。その人はふとしたことがきっかけで、とある山の歩道に手すりをつけたり、ベンチをつけたりするようになったらしい。それも山に放置された伐採済みの木を引っ張ってきて、自分で作る。彼はそのこだわりについて、こんなことを言っていた。

<ベンチとしては使えても、気に入らない物もある。丈夫に作り過ぎて、色気がないの(笑)>ぼくはこのことばが、すごくわかるような気がした。というのも、同じように「ひと」に関してもある。ほら、人間的な「弱さ」が、そのひとの魅力だと感じること。仕事もできるし、後輩想いだけど、酔っ払ったらどうしようもないひと。それは「仕事ができて後輩想いなだけ」よりも、意外と魅力が増している気がする。

ベンチに対して「色気」と表現したのは、魅力を意味するんじゃないかな。

おもうに、きっとひとは不完全なものに、魅力を感じるのだ。ベンチでいえば、丈夫なものより、グラグラしてすこし頼りないもの。ひとだと、非の打ち所がないのではなく、なんだか抜けているひと。そのほうが、自分の関わる余地がある。そのほうが「自分が関わっていたい」とおもえるんだよね。

そうして、惹きつけられる余地がある「不完全なもの」を、ひとやものに限らず、ぼくらは気にいるのだとおもった。

 

今日も「頭サビ9割」に来てくださって、ありがとうございました。旅行したいぜ。